中小企業のCSR・SDGsとボランティア活動について

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主に中小企業経営者という立場から、企業としての「CSR(Corporate Social Responsibility/コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ)」「SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)」あたりの話と、個人としての「ボランティア活動」の関わり方について、Google先生に聞いてみてもあまり出てこない内容でしたので、「個人的な体験からの感想」を少し書いておきたいと思いました。

また、都度、追記などをしてきたいと思います。

CSR・SDGsとボランティア活動についての参考書籍

本記事を書くにあたりCSR・SDGsとボランティア活動の分野について、主に下記の書籍を参考にしました。
経営学書は大企業向けのものが多いので、中小企業は自社向けに学者さんの調査や理論を再構築する必要があります。

  • マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則
  • ドラッカー名著集 4 非営利組織の経営
  • 社会的責任のマーケティング─事業の成功とCSRを両立する
  • コトラー8つの成長戦略 低成長時代に勝ち残る戦略的マーケティング

CSRとSDGsの違いについて

CSRとSDGsとか、言葉の定義が意味不明過ぎるので調べました。流れ的には以下のように、SDGsはCSRを発展させた形のようです。

社会に貢献する責任(CSR)
→ 社会に貢献する責任と同時に、企業目的の達成を行う(社会的責任のマーケティング)
→ 企業の本業と同時に、共通目標のために本業の経営資源を用いて社会に役立てましょう(SDGs)

CSR(企業の社会的責任):
企業が倫理的観点から事業活動を通じて、自主的(ボランタリー)に社会に貢献する責任のことである。
引用:Wikipedia

社会的責任:
市民としての組織や個人は、社会において望ましい組織や個人として行動すべきであるという考え方による責任である。
...(中略)...
もともと「企業の社会的責任」と呼ばれていたが、2003年以降、徐々に「社会的責任」に変わりつつある。初めは企業の社会的責任(CSR)が問題になっていたが、現在では対象が企業に限らない全ての組織や個人であると考えられているからである。
...(中略)...
社会的責任の中核主題及び課題として、組織統治・人権・労働慣行・環境・公正な事業慣行・消費者課題・コミュニティ参画及び開発の7つが挙げられており、いわゆる社会貢献活動(寄付、ボランティア活動など)は含まれていない。
引用:Wikipedia

SDGs(持続可能な開発目標):
持続可能な開発のために必要不可欠な、向こう15年間の新たな行動計画の中の、17のグローバル目標・169のターゲット
引用:Wikipedia

SDGs(持続可能な開発目標)については、目標とする内容が細かく定義されています。

ちなみに、企業の社会的に責任はどこから生まれるかについては、ドラッカー先生の著書マネジメントにて下記のように書かれています。

第一に、自らの活動が社会に対して与える影響から生ずる。第二に、自らの活動とは関わりなく社会自体の問題として生ずる。
引用:マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

ただし、同書にて論が進められた先には、

自らの組織に特有の機能を危うくしては、いかに高尚な動機であっても無責任というべきである。
引用:マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

とありますので、バランス感覚は忘れてはいけないと思います。

個人的なボランティア体験についての考え

個人としては、今はボランティアは控えて、企業として可能な範囲で本業の経営資源を社会に役立てたい(SDGs)と考えて活動しています。
企業経営でSDGsに取り組むと同時に、個人としてボランティア活動を行うには、少しマネジメント能力が足りず、様々な問題が起こったためです。

ただ、自分がボランティア活動をしているなんて事は違和感があるくらい、献身的な人間ではありません。
企業のCSRあたりについては、経営学全般の勉強をしている際にも「自分には関係ないな...」と思い、内容を読み飛ばしていたくらいです。
「自己中心的な幸福感を突き詰めると、他者への献身という答えに行き着く」という考えがありますが、そういう事なのかもしれません。

また、どちらかというと、個人的なボランティア活動よりかは、中小企業のSDGsへの取り組みとして活動する方がしっくりときます。おそらくこの点は、以下のような感覚があるのが原因かと思います。

1.(特に創業者は)個人と会社の活動の区別がつけにくい
2.会社を通して全力で社会貢献しているつもりなので、個人的なボランティア活動と区別がつけられない

中小企業経営者とボランティア活動についての暫定的な結論

企業経営者については、非営利組織で活動するとなると、企業としては「SDGs」、個人としては「ボランティア活動」として活動する選択肢があり、またその両方で求められることが多いのかなと思います。
で、やってみた感じ、両方やると色々な視点(特に時間という点において)で非常にキツイです。非営利組織は業務の最適化がされていない場合が多いので、事前の予想以上に時間が取られると考えて、ほぼ間違いないと思います。

そこで、経営資源の選択と集中が必要になってきます。

そして考えたことは、私個人の価値観としては「社会に与えられる貢献の効率」の大きさが重要だと思いました。
個人ではなく企業として活動したほうがパフォーマンスが高いのは当然なので、そうした方が良いと考えました。なのでそれ以来、個人としてのボランティア活動は、企業のSDGsの取り組みを補助するような感覚で取り組んでいます(企業が動くまでもないけれども、多少専門分野の知識が必要な短時間の活動など)。

中小企業のCSR/SDGsへの取り組みのメリットについて

CSR/SDGsへの取り組みは、メリット/デメリットで語るものでもないですが、企業のCSRについては先の項目にて紹介した書籍(社会的責任のマーケティング─事業の成功とCSRを両立する)で、企業は事業の成功とCSRを両立することが可能であるとし、事例が豊富に挙げられています。
マジですか...と思いながら注意深く読みましたが、そこそこの規模の企業でないと難しい方法が書かれていますので、中小企業としては自社なりの方法を見つける必要があるのかなと思います。

ちなみに、うちの会社的には両立できているかというと、悲しいかな両立はできておりません。

事業の成功とCSRを両立するという視点で考えた場合、資源が限られている中小企業として利益になるのかどうかは、広告効果(特にブランド認知)という曖昧なものに頼らざるを得ないと思います。また、分野が分野だけに、確実に見込み客を獲得し、売り上げに繋げるとか、そういう直接的な営業目的で非営利組織に組み入ると、逆に信用を失うのではないかと思いますので難しいところです。

中小企業のボランティア活動によるメリットについて

SDGsの取り組みの一環として、企業が社員をボランティア活動に従事するよう勧めるという方法もあります。

中小企業にとって、ボランティア活動をする事による直接的なメリットは特に無いですが、ボランティア活動を経験することにより、企業活動が総体的に相手方に与えるよう注意が向くようになるので、社員の顧客に対する対応(信用力・コミュニケーション能力など)は向上しているのかと思える時もあります。

中小企業がマーケティング的にボランティア活動を捉えることに関しては、所属する地域に対するブランディングには役に立っていると思います(広義のマーケティングという意味においてであり、狭義の宣伝・広告の意味でのマーケティングではありません)。
顧客も当然、社会と共存しようとしている会社に仕事を依頼したいと思う確率は高いと思いますので、ボランティア活動を行っている企業の、信用力に繋がるシグナリング効果はあるのかもしれません。

個人でのボランティア活動のメリットについて

Google先生に聞いてみた感じ、ボランティアのメリットなどは、だいたい「何かのスキルがつく、何かが手に入る」的な内容が書かれていました。
個人的にはボランティアに活動による直接的なメリットというものはなく、一方的に与えるだけであると考える方が精神衛生的に良いように思います。
ただ、長期的には「奉仕する心持ちとその結果生まれる習慣」というのが一番の財産になるように感じています。

よく言われるボランティアのメリットと、それへのツッコミ

・活動実績としてアピールできる
自分の今の仕事を頑張って結果を出す方が、実績としてアピールできるように思います。

・経験を積める
余程特殊な分野のボランティアでない限り、副業した方が経験が積めるように思います。

・人脈ができる
「人脈」って言うと、自身が仕事を貰うというニュアンスが強い傾向がありますが、ボランティア組織においては「仕事を任せられる相手を見つける場」として捉えることもできるのではないかと思います(また、そのような組織においては非常に貢献的な人が多い)。

・人の役に立つ
多少の貢献は人の役に立つという事で気分が良いのですが、仕事が忙しい時とかに多大な貢献を求められると、精神的にキツイ時が多々あります。

・仲間ができる
ボランティア活動であれば、苦楽を共にする仲間ができるのかもしれませんが、趣味などの集まりでも仲間はできるのかと思います。

・外の世界を知ることができる
この点が結構大きいのかもしれません。全く違う業種・年齢の人や、パラダイムが違う人と接することになりますので、ビックリすることが多いです。良くも悪くも多様性がある場合が多いです。

ボランティア活動と年齢について

一般的に言われているのはボランティア活動に対しては、年齢別に求めているものが違うらしく、30代以下くらいは「自分の人格形成や成長」、40~50代くらいは「自分自身の関心や趣味の活動」、60代以上は「社会やお世話になったことに対する恩返し」がもっとも多いとのことです(複数の動機のうちもっとも多いだけなので、人によっても違いますし、色々な動機が混ざっています)。
参考:全国ボランティア活動実態調査 報告書 - 全国社会福祉協議会

また、年齢によって幸福の意味が変わってくるという調査もあります。
なので、年齢別に幸福の意味やボランティア活動を行う動機が異なるということを念頭に置いておくと、ボランティアの方を募集したり、やる気をアップしてもらったり、またお付き合いがスムーズになったりするのかなと思います。

ボランティア活動と金銭について

行動の基準を何にするかによって問題が大きく変わると思っています。
行動の基準を「金銭的な基準」とすると活動に対する成果の物差しは金銭的な報酬となりますが、何をどう頑張っても、ボランティア活動(プロボノでも)明らかに割の悪い仕事となります。

なので、成果は金銭的な基準ではなく、別の基準をもってボランティア活動に取り組む必要があるように思います。
行動の基準を「金銭的な基準」とするのならば、副業するのが納得感が出るのではないでしょうか。

また、ドラッカー先生の著書である非営利組織の経営のまえがきで、下記のように書いてあります。

ボランティアは、報酬を得ていないからこそ自らの貢献から満足を得なければならない。
引用:ドラッカー名著集 4 非営利組織の経営

なので、ボランティア活動する側にとっては、金銭的な報酬が無い(もしくは少ない)状態でも、仕事自体から何かを得られるかどうかが判断基準になると思います。

ボランティア活動している人は余裕(時間的・金銭的)があるからやっているのか

統計的には主婦・主夫、定年退職後の方、自営業の方が多いみたいですし、ボランティア活動している人が余裕(時間的・金銭的)がある人が多いというのは、そうだと思います。
また、比較的若い世代は共働きが多く、また日本は景気的によい国ではなので、主婦・主夫、定年退職後の方、自営業の方をあてにした運営方法に無理が生じているように感じます。

ただ、若い世代の中では非常に非営利思考の強い優秀な子らも多くいますので、余裕(時間的・金銭的)があるないという問題よりかは、既存のボランティア組織の古い体質に対して、若い世代の子らが新しい非営利組織をベンチャー的に運営しているのではないかと感じます。

ボランティア活動の組織はどんな感じなのか

個人的な感想になりますし関わった組織によると思いますが、大企業のように統制の取れた報告システムなんてものは存在しないので、現場の方からガンガン声を上げていかないと、何もなく日々が過ぎ去っていくのみという場合が多いのかなと思います。

受動的な立場だと、正直自分の価値観では理解が難しい指示が降りてくることが多い(全く違う業種・年齢・パラダイムが違う人達の決定なので)ので、「やらされ仕事」をやっているという、非常に辛い感覚に陥ります。
自分から進んで何かやっていくという心構えで行かないと、なんというか、組織に使われているだけというような気持ちになったりしてしまうと思います。

ボランティア活動の人の集め方について

ボランティア活動参加に対しての動機が年齢的に異なるという点(30代以下くらいは自分の人格形成や成長、40~50代くらいは自分自身の関心や趣味の活動、60代以上は社会やお世話になったことに対する恩返しがもっとも多い)については既に書きましたが、求めているものが年齢的に異なるという事は、マーケティング的にいうとコトラー先生の仰るSTP(Segmentation,Targeting,Positioning)の施策を行う余地があるということになります。

年齢の他にも性別や趣味など、思考の余地は大いにあると思いますので、取っ掛かりとしては十分かなと思います。

先の項目で挙げた「社会的責任のマーケティング─事業の成功とCSRを両立する」というコトラー先生の書籍の中に、どのようにボランティア活動する人材をリクルートしているのか?という記述もありましたので、参考になるかと思います。

寄付活動について

非営利企業の経営について少し調べた所によると、一度寄付した人にはさらなる寄付をお願いしたり、一度ボランティア活動してくれた人にはさらなるお願いしたりする事が王道のようです(ドラッカー先生の非営利企業の経営によると)。

が、たぶん日本において同じような方法では、やり方を間違うと嫌がられるだけなので、組織としてどのような誠実な対応を採るのかという事については良く考えて明文化するくらいのことをしておかないと、組織の一貫性(要するに組織の信用に関わります)に問題が出たりするのではないかと思います。

ボランティア活動と同調圧力について

(ボランティアやったことない方向け)
わざわざ書く必要ないかもしれませんが、たまに同調圧力が強めの組織があります。
非営利組織は仕事だけでなく、コミュニティを担っている側面があり、多様性を許容できない組織ではそのようなことが起こり得ます。

そういう組織に対して、心地よさではなく、不快感を覚えるのであれば、迷わず距離を置くべきかと思います。
ボランティア組織はそういった同調圧力強めの組織だけではないですし、自分に合う合わないというのも人それぞれです。

また、やりたくない事については「No」と言うことも選択肢の一つです。
無理して活動したりしてしまうと、ボランティア活動自体嫌いになってしまい、社会にとって損失となり、非常にもったいないと思います。

で、結局ボランティア活動する意味とか意義って何?

ボランティア活動していると誰しも気になる問いかけですが、自分で答えを出さなければならない問題だと思います。
色々な人に聞いて回りましたが、人ぞれぞれとしか言いようが無い...というのが結論でした。

今のところ個人的には「経営資源、スキル、ノウハウがあるのなら、なるべく社会の役に立てよう」というような感覚がモチベーションとなっています。

自分を中心に考えて組織から何か引き出せるかと考えると、ボランティア活動のメリット/デメリット論になってしまいますが、一方自分が社会に貢献をすることを中心として考えると「自分が社会の役に立つために、組織の皆さんに協力してもらっている」という感覚になり、当然のことながら、一人よりも組織の皆さんの力を借りた方が社会に貢献する影響力が大きくなります。

世の中には大いなる問題がたくさんあり、評論や議論したい気持ちは分かるのですが、それでは問題は解決しませんので、問題を解決するための成果を生み出すための活動だと個人的には考えています。

利益が見込める分野であれば企業が動きますし、公共性が高ければ国・地方公共団体が動きますが、その他の当てはまらない問題の解決をするのが非営利組織の役割で、各々の組織の理念に賛同して活動したいかどうか?という所に、各人の意味とか意義があるのかなと、今のところ考えています。

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