アントレプレナーの教科書-起業・新規事業を立ち上げる新しい方法

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話題のリーンスタートアップの原型になった本。著者はいくつも起業しているシリアルアントレプレナーであるスティーブン・G・ブランクです。
スティーブン・G・ブランクは創業・立ち上げに関わった8社のうち4社が株式上場(本を執筆した時点で)しているという経歴を持った方で、本の内容にかなり説得力があります

アントレプレナーの教科書


厳しい最初の数年を生き長らえたスタートアップは、プロダクトマネージャーやベンチャーキャピタルが支持する伝統的な製品を中心とした市場投入モデルに従っていないということである
(まえがき)

本書は「顧客開発モデル」というモデルの4つのステップに沿って書かれています。
4つのステップとは「顧客発見→顧客実証→顧客開拓→組織構築」です。

リーンスタートアップに照らし合わせてみると、「顧客発見」がPSF(プロダクト・ソリューション・フィット)、「顧客実証」「顧客開拓」がPMF(プロダクト・マーケット・フィット)の段階におおよそ相当します。
ほとんどの起業したスタートアップがPMF(プロダクト・マーケット・フィット)までたどり着けないことを考えると、経験豊富な人物が書いた本書は非常に勉強になります。

リーンスタートアップの具体的な実践方法については過去の記事「実践リーンスタートアップ-起業アイデアからリスクの少ないビジネスモデルを作る方法」を参考にしてみてください。

本書は全体的にスタートアップのマーケティングや製品開発において、従来正しいと考えられてきた方法の良くない点とその理由、そして解決方法を提示してくれてます。
例えば、大企業とスタートアップ企業のマーケティング方法は全く違って(全く逆の場合も)いて、スタートアップ企業の方法を学ぶ必要があるという点などです。

その中でも繰り返して書かれていたのが「市場タイプ」の話で、「既存市場の新規製品」「新規市場の新規製品」「新規製品による再セグメント化(低コスト)」「新規製品による再セグメント化(ニッチ)」はそれぞれ取るべき戦略(本書の方法では顧客開発プロセス)が異なるという話です。

すなわち、参入する市場タイプによって4つのステップである「顧客発見→顧客実証→顧客開拓→組織構築」が異なることが強調されています。
また、参入する市場タイプの定義を間違うとどのような結果になるのか、どのように対処すべきなのかが具体例を用いて説明されているので非常に分かりやすいと共に、重要度がよく伝わります。

また、スタートアップ初期のチームビルディングの方法なども最後の付録に紹介されています。本当に教科書みたいです。
リスクを少なく起業や新規事業を立ち上げる方法を学ぶのに最適です。

顧客開発部隊の必要性は、顧客と対話する組織を過激な配置に新しく構成し直すことを意味する。
顧客発見と顧客実証ステップでは、営業、マーケティング、事業開発の部門は不要であると推奨してきた。そして当事者となる全員の自尊心を傷つけることになるが、それらの幹部も同様に不要である。
(付録A)

About
Kuniyoshi Takemoto is the founder of Amelt.net LLC, and editor of this blog(www.amelt.net).Learn more and follow me on LinkedIn.